七月七日といえば、七夕の日。一年に一度、織姫と彦星が天の川で落ち合い、愛を交わす日と言われています。
しかしこの七夕、旧暦では八月に当たるため、八月七日に行う地域も多いことを知っていますか?
しかも、織姫と彦星は恋人同士ではありません。れっきとした夫婦なのです。二人は与えられた仕事を全うせず、手を取り合って遊びほうけていたせいで、天の怒りを買いお互いの居場所を川で隔てられてしまいます。
絶望した二人を見かねて、天は二人に、夏の一日くらいは会わせてあげようと情けをかけます。それが七夕の日なのです。
ではなぜ、季節に夏を選んだのか。……あなたは、不思議に思いませんか?
夏に恋をしたくなるのは何故なのか?
「恋といえば夏だから!」……そんな理由で、七夕が夏に行われるようになったのかはさておき。
愛によって真夏に男女が引き合う……七夕がそんなロマンチックなイベントであることは確かです。
ストーリーを見ても、障害の多い恋というのがなんだか乙女心をくすぐりますよね。
では、なぜ人は夏に恋をしたがるのでしょうか。
人間には、動物のように発情期はありません。かつてはあったのかもしれませんが、知能の発達や進化の過程で確実に失われてきました。そして、代わりにその働きを大きくしてきたものがあります。
それは、理性。人間は行動の前に頭でよく考える生き物だからこそ、瞬発的に性に走ることが抑制されているのです。
しかし、夏はこの理性が人々に落とし穴を用意します。
夏は、理性から解き放たれる!?
夏に異性を求める気持ちが湧きあがるのは、非日常を感じるイベントが多いからではないかと言われています。
夏祭り、海、花火、浴衣に水着……普段は目にすることのないそれらが、私たちから理性を奪うのです。
夏の休日は日常のお休みとは違う、刺激に溢れた日々です。普段は休むために休日を過ごす人が多い日本でも、夏には誰もがレジャーに駆り立てられます。
こうして退屈な時間から一気に解き放たれると、人はいつもだと求めない強い快楽まで本能で探し求めるようになるのです。
そして、羽目を外しても許されるという都合のいい思考も起こりやすくなります。まさに、理性が緩むのです。
そこで異性に出会うと、ドーパミンが勢いよく吹き出し、ひと夏の恋に落ちてしまうことになります。
つまり、人は夏に恋をしたがるのではなく、夏が人に恋をさせるのです。
理性を失くすと思い込みが激しくなる!
人間は特別な時間を一緒に過ごした相手を、特別と思い込んでしまいやすいもの。
おまけに、夏は普段よりも異性の露わになった肌を見る機会が多く、興奮しやすくなっています。
人は太陽に当たると気分が高揚しやすい習性があるので、海や山などアウトドアの場面で出会った異性にはとことん惚れやすくなっているのです。
しかも、理性が緩むと思い込みを正す冷静な判断が出来なくなり、一度「こうしなきゃ!」と思ったことを是が非でも実行しようとしてしまいます。
相手との間に何か問題があっても、それを「関係ない」と振り切って前に進むことが絶対だと信じ切ってしまうのです。
だからこそ、夏はさまざまな障害の最中であっても、お互いの存在だけを感じることが出来るのでしょう。
まさに、燃え上がる織姫と彦星のようにです。
まとめ
織姫と彦星のお話は、ひと目惚れし合った恋人同士が天の川で落ち合うものと思い込んでいた人もいたと思います。
しかし実際には、永遠の愛を誓い合ったにもかかわらず一緒には暮らせない、悲しい夫婦の話なのでした。
そこには相手のことを本当には思い遣らず、欲望と楽な道だけを選び続けた二人の過ちが認められると思います。
夏、私たちには季節の魔法が降りかかります。
初めて出会う相手や何とも思わなかった友人が、何故だか素敵に見えてしまうこともあるでしょう。
しかし、油断は禁物です。恋愛は相手を見極めなければ、大事なものを失うこともあります。
皆さんは夏だからと言って羽目を外し過ぎて、大きな後悔をしないように気を付けてくださいね。