離婚後の養育費不払いを防ぐために事前に用意すべきこと3つ
養育費の支払いは離婚の中でも揉める問題のひとつであり、離婚後に不払いとなって子供の生活に影響を与えるケースが増えています。
厚生労働省の調査によると、1983年に約71万件だった母子家庭の数は2011年には約123万世帯と増加の一途を辿っており、そのうち養育費を受けている母子家庭の割合は2011年の時点で19.7%とかなり低い数字が続いています。
つまり、約123万世帯の母子家庭うち、80.3%が養育費の不払いにあっているということです。
では、離婚後も養育費をしっかりと受けるためにはどのような対策を行い、何を用意する必要があるのでしょうか?
1. 養育費の支払いは義務
日本では当たり前のように行われている養育費の不払い問題ですが、実は養育費の支払いは民法で定められた義務であり、子供が成人し自立できるまで子供の生活や学業に掛かる一切の費用は親に責任があるものとされています。
つまり、離婚をして子供と離れて暮らすことになったとしても、親である以上養育費を支払う義務が消滅することはなく、仮に親が再婚して子供ができたとしても同様なのです。
また養育費の負担に関して、親が失業中である、多額の負債を抱えている、経済的に余裕がないといった理由はまず通用しません。
経済的に支払える能力がないという場合、どの程度まで支払うことができるか?という部分で話し合う必要はありますが、それが支払いを怠っていい理由にはなりません。
2. 不払いが発生した際は強制執行で養育費を獲得する
協議離婚や自分たちで書面などを作成した場合、離婚後に養育費の不払いが発生して、書面の内容や口約束を理由に請求をしてもそれに応じないことがほとんどです。
こういう時は、強制執行を行って相手の財産を強制的に差し押さえすることができます。
強制執行とは、先に述べた通り「養育費を支払ってくれなければ財産を差し押さえますよ」という書面を相手に送り、反応がなければ財産を差し押さえるというものです。
差し押さえできる財産は以下の5つです。
- 不動産
- 動産(家財道具)
- 給与
- 預貯金
- 会社の売り上げ(相手が自営業の場合)
強制執行で養育費を獲得するなら給与か預貯金のどちらかを狙うのがもっともシンプルですが、給与の場合は全額差し押さえができるわけではなく、原則として税金・社会保険料・交通費などを差し引いた額の2分の1を差し押さえることは禁止されています。
また、給与に関しては一度差し押さえてしまえばその後不払いの心配をする必要はありません。
というのも、差し押さえ効果が翌月からも持続するため、毎月手続きをとる必要がないからです。
とはいえ、強制執行を行うためには、定められた規則に則り手続きを踏む必要があります。
以下、3つのどれかに該当する場合は強制執行の手続きをスムーズに進めることができます。
- 養育費の支払い内容について調停で成立している
- 養育費の支払い内容について裁判で勝訴している
- 養育費の支払いについて記載された公正証書を作成している(この場合、養育費が不払いとなれば強制執行を行う、という旨の記述が公正証書に加えられている必要がある)
3. 差し押さえる財産に関する情報を把握する
強制執行は裁判所に申請を行い、許可を得ることによってそれを実行することができます。しかし、裁判所は強制執行する相手の情報や差し押さえる財産がどこにあるのか、またその財産の種類や価値などを一切把握していません。
つまり、差し押さえを行う場合は、あなた自身が相手の財産の情報を取得し、それを裁判所に伝えなければならないのです。
具体的に必要となる情報は、相手の給与を差し押さえる場合は相手の勤務先、預貯金を差し押さえる場合は対象の口座情報を入手しておく必要があります。
まとめ
養育費の不払いにより経済的に困窮し、切り詰めた生活を強いられている母子家庭は後を絶ちません。
養育費の支払い義務は子供の利益を第一に考えた制度であり、親が払わないと決める権利はありません。
口約束だけを信用して何も準備しないまま離婚すれば、不払いになった時にとれる対策もとれなくなってしまいます。
離婚後の養育費のこともしっかりと見据えて、事前に準備を進めておきましょう。
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